ぴーからぶー

2025年4月に理研脳神経科学研究センターから移籍した神経幹細胞研究チームの影山 龍一郎チームディレクターは、2代目センター長としてBDR全体も率います。

「チャレンジ精神を忘れずに。困難に直面している時こそ意外な発見に繋がりやすいです。」

理研でチームを持つ前は、どこでどのような研究をしていましたか?

京都大学ウイルス・再生医科学研究所で発生リズムの研究をしていました。

一般に遺伝子発現は2種類の代表的なリズムによって制御されています。出生後は概日時計によって約24時間周期のリズムで遺伝子発現が変化し、昼夜の活動を制御します。一方、生まれる前の胎生期には概日時計は働かず、種に特異的なリズム(発生リズム)によって遺伝子発現が制御されます。マウスの場合は2時間周期で、ヒトは5時間周期です。椎骨、肋骨、骨格筋などの元になる体節は、頭側から尾側に向かってこの周期に従って左右一対ずつ形成されます。同様のリズムが神経幹細胞の増殖にも重要なことがわかりました。この発生リズムのメカニズムや役割を理解するための研究を行なっていました。

理研ではどのような研究を目指していますか?

成体脳にも神経幹細胞が残っていますが、ほとんどが休眠状態でニューロン産生能は低いです。成体脳の神経幹細胞には発生リズムが働いていませんが、このリズムを復活させると神経幹細胞は活性化して多くのニューロンを産生し、認知機能や記憶が改善することを老化マウスを用いた実験で示しました。この技術を臨床応用する研究を進めていく予定です。また、発生リズムのメカニズムや役割に関して未だ多くの点が不明なので、この研究も進めていく予定です。

チームはどのようなメンバーで構成されていますか?

研究員4名、大学院生4名、留学生2名、派遣職員1名、アシスタント1名です。チームの強みである特徴的な技術は、短周期リズムを示す遺伝子発現のライブイメージングや、光遺伝学的に短周期遺伝子発現リズムを誘導する手法です。

最近ハマっていることを教えて下さい。

早歩き。早歩きすることで成体脳ニューロン新生が活性化されて記憶力や認知機能が良くなることが報告されています。

神戸に着任して、よかったことはありますか?

神戸はお洒落で住みやすい街です。海と山の両方が近く、色々な店もあり、散歩が楽しいです。

チームに参加したい!という方に向けてひとことお願いします。

研究は失敗の連続ですが、その時こそ意外な発見につながるチャンスです。失敗にめげずチャレンジし続ける精神力を持つことが大事です。