ぴーからぶー

理研BDR-大塚製薬連携センター(RBOC)は2016年に設立され、数多くの医薬品や健康製品など創り出して人々の健康に貢献している大塚製薬株式会社と手を組み、発生・再生学、生命システム学などに基づく疾患メカニズムの探索と創薬への応用に向けて共同研究を行い、独創的な成果の創出を図ることを目指しています。2020年6月にRBOCの下に新たに神経器官創出研究プログラムが設置され、坂口秀哉が研究リーダーとして着任しました。神経内科医として活躍していた坂口先生は、3次元で神経組織構築に興味を持ったことをきっかけに、理研 発生・再生科学研究センター(当時)の故・笹井芳樹先生の研究室で博士課程の研究を行い、神経オルガノイドを創り出す技術を取得しました。今回は、坂口先生が率いる神経器官創出研究プログラムについて聞いてみました。

研究室メンバーはどのような構成ですか?

現在は、研究リーダーの私の他に、研究員1名とアシスタント兼テクニカルスタッフが1名で合計3名で研究に取り組んでいます。今後、もう少し研究員を増やしていきたいと思っています。

研究室の主な研究テーマを教えてください。

ヒト由来多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)から海馬の3次元組織をつくり出して、脳の中で海馬組織ができる過程のメカニズムを明らかにする基礎研究と、創り出した海馬組織および海馬神経を用いて、統合失調症のような海馬の神経機能異常が関わるとされる精神疾患のモデリングや創薬に向けての薬物スクリーニングなどへの応用研究に取組んでいます。

研究室の強みはどんなところですか?

多能性幹細胞から大脳オルガノイドを分化誘導に成功したとする論文や、それに関連する研究が世界中から報告されていますが、大脳からさらに海馬や海馬神経の誘導に成功している研究者はほとんどいなくて、それが私たちの強みです。また脊髄組織も造り出す技術も持っており、このような発生の知見を元にした神経組織創出の技術を活かして、ヒトの脳の発生過程で何が起きているか、また脳神経疾患などのメカニズムの解明など、既存の技術でできなかったレベルで探求することができます。

新型コロナウイルス感染拡大による研究の影響はありましたか?

2020年6月に着任しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の対応に社会が右往左往している真っ最中だったこともあり、研究スペースの工事の遅れや研究に必要な器材が品薄であったりするなどし、研究環境が整うまでにかなり時間がかかりました。やっと2021年3月からおちついて研究を本格的に開始することが出来ました。